夢破れし 美夜子 0d22:08:41 01回 [今年も変わらず。律儀にもこの地を訪れる彼女の姿。夫を亡くして3年が経った。端から見れば、悲しみにくれる未亡人。ただ一つ不思議だったのは。]知夏、先にばぁばんち行ってな。母ちゃん、やる事があっからさ。[娘を先に行かせれば、向かう先は夫の墓とは逆の方角だったのだ。]
[今年も変わらず。律儀にもこの地を訪れる彼女の姿。夫を亡くして3年が経った。端から見れば、悲しみにくれる未亡人。ただ一つ不思議だったのは。]知夏、先にばぁばんち行ってな。母ちゃん、やる事があっからさ。[娘を先に行かせれば、向かう先は夫の墓とは逆の方角だったのだ。]
>>0:9 夢破れし 美夜子 0d22:09:22 01回 [今年も変わらず。律儀にもこの地を訪れる彼女の姿。夫を亡くして3年が経った。端から見れば、悲しみにくれる未亡人。ただ一つ不思議なのは。]知夏、先にばぁばんち行ってな。母ちゃん、やる事があっからさ。[娘を先に行かせれば、向かう先は夫の墓とは逆の方角だったのです。]
[今年も変わらず。律儀にもこの地を訪れる彼女の姿。夫を亡くして3年が経った。端から見れば、悲しみにくれる未亡人。ただ一つ不思議なのは。]知夏、先にばぁばんち行ってな。母ちゃん、やる事があっからさ。[娘を先に行かせれば、向かう先は夫の墓とは逆の方角だったのです。]
>>0:10 夢破れし 美夜子 0d22:18:46 02回 [そこは墓地の外れ。その墓石は、名前も書かれていなければ、大きさ自体も数周り小さい。よくこの場を訪れる者であっても、それが墓石だと気付いている人が何人いるでしょうか。なんだか、子供の手作りのようで。] 今年も、お前さんには会えずじまいだったよ。 一緒には、行けないんだよね。[うつむき加減に絞り出すように呟けば、当然答える声はない。遠くにサバ猫が歩いているのが見えた。] そういや、あの時にも猫が居たっけ。 あの猫、残念だったなぁ。[風の噂を思い出す。あたしにとって、あの猫は、そうだなぁ・・・・・・**]
[そこは墓地の外れ。その墓石は、名前も書かれていなければ、大きさ自体も数周り小さい。よくこの場を訪れる者であっても、それが墓石だと気付いている人が何人いるでしょうか。なんだか、子供の手作りのようで。] 今年も、お前さんには会えずじまいだったよ。 一緒には、行けないんだよね。[うつむき加減に絞り出すように呟けば、当然答える声はない。遠くにサバ猫が歩いているのが見えた。] そういや、あの時にも猫が居たっけ。 あの猫、残念だったなぁ。[風の噂を思い出す。あたしにとって、あの猫は、そうだなぁ・・・・・・**]
>>0:12 夢破れし 美夜子 0d18:49:16 03回 [爽やかな風に、久方振りに伸ばしてみた髪がなびくのです。千の風はなんとやら。これほど肝試しに向いていない墓地も珍しい。] おいでよ。[振り返ってはいけないよ。一度は終わったはずの物語だから。私が一歩踏み出すと決めたのだから。]
[爽やかな風に、久方振りに伸ばしてみた髪がなびくのです。千の風はなんとやら。これほど肝試しに向いていない墓地も珍しい。] おいでよ。[振り返ってはいけないよ。一度は終わったはずの物語だから。私が一歩踏み出すと決めたのだから。]
>>0:20 夢破れし 美夜子 0d21:32:18 05回 [小さなお墓に、そっと彼岸花を供えるのです。彼岸花は供えるものでなく勝手に生えているものじゃないかって?] 彼岸花。あいつが好きだった花。なら、それが一番じゃないのさ。[だ、そうです。] 特別綺麗な場所を見つけたからね。それもあの猫のおかげさ。一度、手入れでもしてやるかい。[この広い墓地の一角にある、ぽかんと空いた区画。そこに咲き誇る彼岸花を以前に見た事があるのでした。ところが]
[小さなお墓に、そっと彼岸花を供えるのです。彼岸花は供えるものでなく勝手に生えているものじゃないかって?] 彼岸花。あいつが好きだった花。なら、それが一番じゃないのさ。[だ、そうです。] 特別綺麗な場所を見つけたからね。それもあの猫のおかげさ。一度、手入れでもしてやるかい。[この広い墓地の一角にある、ぽかんと空いた区画。そこに咲き誇る彼岸花を以前に見た事があるのでした。ところが]
>>0:21 夢破れし 美夜子 0d21:34:39 06回 さて、 あれぇ?[霊園は霊園でもここは特に広い。年に一度来るだけでは迷ってしまう。知らないお墓なんて、遠目には皆同じに見えるのだから。これは団地マジックならぬお墓マジック。美夜子もそれに嵌ってしまったようです。] いかんいかん。迷ったよこれ。 前にも一度、大騒ぎになったんだよな。 あたし、こんなに方向音痴じゃなかったはずなんだけれど?[ぐるぐる、ぐるるると回り。いつの間にか、出口の方角すらも見失ってしまうのでした。]
さて、 あれぇ?[霊園は霊園でもここは特に広い。年に一度来るだけでは迷ってしまう。知らないお墓なんて、遠目には皆同じに見えるのだから。これは団地マジックならぬお墓マジック。美夜子もそれに嵌ってしまったようです。] いかんいかん。迷ったよこれ。 前にも一度、大騒ぎになったんだよな。 あたし、こんなに方向音痴じゃなかったはずなんだけれど?[ぐるぐる、ぐるるると回り。いつの間にか、出口の方角すらも見失ってしまうのでした。]
>>0:22 夢破れし 美夜子 0d21:40:36 07回 [焦っていないふりをしつつ、そんな折に見えた人影。ご丁寧にも大根の薫りを漂わせて。帽子からして、どう見たって道に詳しそうな人!地獄に仏とはこの事だ。] 聞かぬは一生の恥? 背に腹は代えられない? いや聞くっきゃない。 あの、すみません![小走りに近付きながら声を掛けてみた。この墓地で彼岸花の沢山生えている場所を知らないかと。誰に聞いても、そんなものは知らないと言われてしまった、あの場所を。猫しか知らなかった、あの場所を。**]
[焦っていないふりをしつつ、そんな折に見えた人影。ご丁寧にも大根の薫りを漂わせて。帽子からして、どう見たって道に詳しそうな人!地獄に仏とはこの事だ。] 聞かぬは一生の恥? 背に腹は代えられない? いや聞くっきゃない。 あの、すみません![小走りに近付きながら声を掛けてみた。この墓地で彼岸花の沢山生えている場所を知らないかと。誰に聞いても、そんなものは知らないと言われてしまった、あの場所を。猫しか知らなかった、あの場所を。**]
>>0:26 夢破れし 美夜子 0d21:05:36 08回 よしっ任せた![やっぱりここは人に聞くに限る。ようやく頼りになる人を見つけたぞと、思わず握手を求め、満足したように頷けば。後に続く美夜子でしたが・・・・・・]
>>0:29 夢破れし 美夜子 0d21:08:09 11回 えっと、ハマチさん![30分経った、まだ着きません。確信に確認が取れました。] 迷ってるよね、これ絶対に。 もしかして、ハマチさんここの人じゃなかったんです?[妙な勘違いをしていたのではないかと、恐る恐る聞いてみるのでした。いいや、知らないのも無理はないのですけどね。]
えっと、ハマチさん![30分経った、まだ着きません。確信に確認が取れました。] 迷ってるよね、これ絶対に。 もしかして、ハマチさんここの人じゃなかったんです?[妙な勘違いをしていたのではないかと、恐る恐る聞いてみるのでした。いいや、知らないのも無理はないのですけどね。]
>>0:32 夢破れし 美夜子 0d21:27:12 12回 うぅーん。[きっとあたしよりも詳しい人にそう言われてしまうと、自信が無くなってしまう。あれは記憶違い? けれど。すぐにいいやと首を振るのです。] うん、間違いないよ。 なぜだか一ヶ所だけ空き地があって、そこに生えていたんだ。去年までここにいた猫についていったら、見つけたんだよ。 後は、そうだねぇ。そういや、古いお墓ばかりだったな。[後は、今のところ思い出せないと残念そうに語る。]
うぅーん。[きっとあたしよりも詳しい人にそう言われてしまうと、自信が無くなってしまう。あれは記憶違い? けれど。すぐにいいやと首を振るのです。] うん、間違いないよ。 なぜだか一ヶ所だけ空き地があって、そこに生えていたんだ。去年までここにいた猫についていったら、見つけたんだよ。 後は、そうだねぇ。そういや、古いお墓ばかりだったな。[後は、今のところ思い出せないと残念そうに語る。]
>>0:33 夢破れし 美夜子 0d21:31:02 13回 いいや、ありがとう。 もう少し自分で探すさ。また見つけたら教えておくれよ。 駅長なら、駅に行けば会えるよね?[いつも車ばかりで駅は使っていないけれども。そういや、遠くから列車の音が聞こえる時があったなと。たまには、新しい道を開拓してみるのもアリかも知れない。**]
いいや、ありがとう。 もう少し自分で探すさ。また見つけたら教えておくれよ。 駅長なら、駅に行けば会えるよね?[いつも車ばかりで駅は使っていないけれども。そういや、遠くから列車の音が聞こえる時があったなと。たまには、新しい道を開拓してみるのもアリかも知れない。**]
>>0:42 夢破れし 美夜子 0d21:56:16 14回 [さて、ハマチさんと別れてしばらく。美夜子はちょっとした丘の上に出てきたのでした。下のほうの霊園が見渡せます。けれども、やっぱり赤い絨毯は見当たらないのです。] この坂も実に走りたくなる坂であるってね![横に一応階段はあるけれど、自分が行きたいのは。きょろきょろと辺りを見回して、ひとまず誰も見当たらないのなら。そっと草の茂った坂道を走り下ってみる。けれども、まだ下りきらないうちにその速度は弱まって。] やっぱ、あの頃と同じようにはいかないか。[ついには止まると、哀しそうに笑うのでした。**]
[さて、ハマチさんと別れてしばらく。美夜子はちょっとした丘の上に出てきたのでした。下のほうの霊園が見渡せます。けれども、やっぱり赤い絨毯は見当たらないのです。] この坂も実に走りたくなる坂であるってね![横に一応階段はあるけれど、自分が行きたいのは。きょろきょろと辺りを見回して、ひとまず誰も見当たらないのなら。そっと草の茂った坂道を走り下ってみる。けれども、まだ下りきらないうちにその速度は弱まって。] やっぱ、あの頃と同じようにはいかないか。[ついには止まると、哀しそうに笑うのでした。**]
>>0:52 夢破れし 美夜子 0d22:06:54 15回 おやあ?[また猫だ。今度は茶猫。この場所ではよく猫と遭遇する。] いよっ、チャー。[やけに慣れた手つきで猫との距離を詰めれば、あっという間に抱き上げてしまうのでした。適当な名前で猫を呼んでも、猫は猫らしく何処吹く風。] おめぇもフリーかぁ? どうだい、あたしもネコノシュウカイに招待してくれよぉ。[にししと笑ったかと思えば今度は猫にすらも見られないように、そっと涙を拭くのです。]
おやあ?[また猫だ。今度は茶猫。この場所ではよく猫と遭遇する。] いよっ、チャー。[やけに慣れた手つきで猫との距離を詰めれば、あっという間に抱き上げてしまうのでした。適当な名前で猫を呼んでも、猫は猫らしく何処吹く風。] おめぇもフリーかぁ? どうだい、あたしもネコノシュウカイに招待してくれよぉ。[にししと笑ったかと思えば今度は猫にすらも見られないように、そっと涙を拭くのです。]
>>0:53 夢破れし 美夜子 0d22:10:47 16回 [チャー(仮)を解放すれば、すぐに立ち去っていってしまう。首輪をしているし、飼い主の元へと帰ったのかも知れない。] なんだか、楽しくなってきた。[そうだ。数年前と同じように猫の後をつけてみよう。何の根拠も無いけれど、またあの場所に連れて行ってくれる気がして。**]
[チャー(仮)を解放すれば、すぐに立ち去っていってしまう。首輪をしているし、飼い主の元へと帰ったのかも知れない。] なんだか、楽しくなってきた。[そうだ。数年前と同じように猫の後をつけてみよう。何の根拠も無いけれど、またあの場所に連れて行ってくれる気がして。**]
>>0:67 夢破れし 美夜子 0d22:22:40 17回 あ、ここは。[こっそりと猫の跡を付ければ、そこにあったのは墓守さんの。本当は今日も会いたかったあの猫。猫が何を思うのかは知らないけれど、運命を感じずにはいられなかった。] あたし、そういうの信じるからさ。 チャー、あんたもこいつに会いに来たのかい?[チャーではない。]
あ、ここは。[こっそりと猫の跡を付ければ、そこにあったのは墓守さんの。本当は今日も会いたかったあの猫。猫が何を思うのかは知らないけれど、運命を感じずにはいられなかった。] あたし、そういうの信じるからさ。 チャー、あんたもこいつに会いに来たのかい?[チャーではない。]
夢破れし 美夜子 0d22:26:00 02回 [木陰になって気が付かなかったけれども、どうやら先客がいたようで。なんだかちょっぴり派手な人。初見で踊り子かと思ったのは、当たらずとも遠からずだっただろう。] 寂しいですね。 この間までこっち側にいた猫が、あちらへ行ってしまうのは。[懐かしむようにそっと語りかけてみるのだった。]
[木陰になって気が付かなかったけれども、どうやら先客がいたようで。なんだかちょっぴり派手な人。初見で踊り子かと思ったのは、当たらずとも遠からずだっただろう。] 寂しいですね。 この間までこっち側にいた猫が、あちらへ行ってしまうのは。[懐かしむようにそっと語りかけてみるのだった。]
夢破れし 美夜子 0d22:26:18 03回 [木陰になって気が付かなかったけれども、どうやら先客がいたようで。なんだかちょっぴり派手な人。初見で踊り子かと思ったのは、当たらずとも遠からずだっただろう。] 寂しいですね。 この間までこっち側にいた猫が、あちらへ行ってしまうのは。[懐かしむようにそっと語りかけてみるのだった。**]
[木陰になって気が付かなかったけれども、どうやら先客がいたようで。なんだかちょっぴり派手な人。初見で踊り子かと思ったのは、当たらずとも遠からずだっただろう。] 寂しいですね。 この間までこっち側にいた猫が、あちらへ行ってしまうのは。[懐かしむようにそっと語りかけてみるのだった。**]
>>0:68 夢破れし 美夜子 0d22:26:40 18回 [木陰になって気が付かなかったけれども、どうやら先客がいたようで。なんだかちょっぴり派手な人。初見で踊り子かと思ったのは、当たらずとも遠からずだっただろう。] 寂しいですね。 この間までこっち側にいた猫が、あちらへ行ってしまうのは。[懐かしむようにそっと語りかけてみるのだった。]
[木陰になって気が付かなかったけれども、どうやら先客がいたようで。なんだかちょっぴり派手な人。初見で踊り子かと思ったのは、当たらずとも遠からずだっただろう。] 寂しいですね。 この間までこっち側にいた猫が、あちらへ行ってしまうのは。[懐かしむようにそっと語りかけてみるのだった。]